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レヴェナントでの坂本龍一の音楽の役割

公開日: : 最終更新日:2017/02/14 芸能

坂本龍一は病み上がりにも拘わらず立て続けに映画音楽の仕事を2本受けました。

あえてサウンドトラックとは言わないのは

それ以上の役割が坂本龍一の作る音楽に求められたからです。

一つは日本映画で山田洋次監督、吉永小百合主演の「母と暮せば」です。

もう一つはハリウッド映画の「レヴェナント」です。

レオナルドデカブリオ主演で彼はこの映画でアカデミー賞を受賞しました。

この映画ではセリフが非常に少なく、坂本龍一は音楽でレオナルドデカブリオ演じる主人公ヒューグラスの壮大なドラマを表現する役割も負っているのです。

病み上がりに最大の仕事をした坂本龍一

坂本龍一の中咽頭がんの闘病生活は2014年の7月から数か月間に及びました。

のどが患部ですからうまく食事ができず、体重が最も多いときよりも10キロ以上減りました。

結果として、映画の大作2つをほぼ並行して作業することになってしまい、本当に大変でした。

山田洋次監督から「母と暮せば」の音楽をオファーされたのはがんが発覚する2カ月前です。

初対面で、東京のコンサート会場楽屋に吉永小百合さんと一緒にいらして、いきなり依頼されたので面食らったといいます。

イニャリトゥ監督から突然、電話がかかってきたのは病気療養中のときです。

次の映画の音楽を頼まれたときには相当に悩んだといいます。

結局一生に1度あるかどうかの機会ですから受けることにしたといいます。
坂本

「母と暮せば」を2015年4月から、「レヴェナント:蘇えりし者』を同5月からほぼ同時に制作し始めて、頭の中が混乱して変になってしまいそうだった。

こんなに仕事が集中したのは人生で初めての経験です。」

「こんなに大変な仕事をしたら、絶対にガンが再発して死んでしまうかもしれないと覚悟しました。」

イニャリトゥ監督の要求は厳しくて、「メロディーではなくて、音の重なりを欲しい」なんて注文してきたといいます。

「仕事の分量も膨大でまだ病気から回復しきっていない僕は1日8時間しか集中力がもたず、時間が足りなくなり、ノイローゼ気味になってしまった。

「もうクビにしてくれ」という感じでした。

よく乗り切れたと思います。途中で信頼できる助っ人を頼みましたが、あの時点では自分の持てる力を精いっぱい出し切ったと思っています」

「病気になる前は体力も精神力も能力も過剰なくらい自信を持っていましたけど、

今回の仕事はその自信をすっかりなくしてしまうくらい大変でした。

やはり、超一流の仕事をする人は要求がシビアで受けた人は大変な目にあうようです。

王様と私の主役を演じた渡辺謙も周囲に「荷物をまとめて日本に帰る」と言ったこともあったくら自信がなくなる思いをしています。

ここに文章を入力します。

イニャリトゥ監督の音楽センスが求めた坂本龍一の音楽

イニャリトゥ監督はメキシコ出身で52才になります。

映画音楽の作曲やFM局でのDJやコンサートのプロデューサー経験もあるというイニャリトゥ監督は音楽を良く知っていて趣味がよく鋭い音楽センスの持ち主なのです。

2006年に監督した「バベル」にしても、2014年、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」にしてもどちらの作品も音楽の使われ方が素晴らしいという評価を受けています。

坂本龍一は「バベル」では「美貌の青空」他1曲を提供しています。

イニャリトゥ監督はそれから坂本龍一と仲良くなって今回もお願いしたといいます。

「彼の曲には余計なものがなく優雅で感動的だ
彼はアルヴァ・ノトともコラボしてアルバムを6枚出しているのでアルヴァにも
声をかけた」
「ここ3年くらいは坂本龍一の曲が大好きなんだ」

とインタビューで答えています。

レヴェナントでは坂本龍一音楽の役割は重要

映画「レヴェナント 蘇りし者」では音楽の役割は重要です。

「セリフが少ないので映像と音楽と音響効果がセリフの代わりとなってストーリーを伝えているのです。

だから膨大な量の音楽が必要でした。

イニャリトゥ監督の要望はアコースティックと電子音楽を何層にも重ねたものでした

その二つを融合させました

加工され作り込まれた電子音楽と音質の良いオーケストラを組み合わせるのは大変な作業でした。」

と坂本龍一。

主演のデカブリオの坂本龍一の音楽の評価

ZIPで放送されたインタビューの中でデカブリオは坂本龍一の音楽を評しています。

主人公ヒューグラスは勇気を奮い起こして諦めることなく進んでいく

坂本の楽曲はそれを表している

曲を聴くと最後には大きく心を揺さぶられるんだ

彼の音楽はこの映画にふさわしい。

アフレコ収録で楽曲を聴いたときまさに求めていた音楽だったから強く感銘を受けたんだ。
アカデミー

映画「レヴェナント 蘇りし者」は4月22日から全国公開になります。

この映画のテーマについてイニャリトゥ監督は言っています。

「この映画のテーマは 蘇る だ。人は打ちのめされても何度でも蘇る。だけど根の部分は変わらない。この作品で描くのはそこだ」

イニャリトゥ監督は子供を失った経験を負っているのです。

「人は失ったもので形成される。人生は失うことの連続だ。失うことでなりたかった自分になるのではなく、本当の自分になれるのだ。」

イニャリトゥ監督にとってこの映画は「レヴェナント 蘇りし者」は自分を投影しているのかもしれません。

映画「レヴェナント 蘇りし者」は大自然の映像美、俳優の演技力、坂本龍一の音楽 とたのしみどころ満載です。

公開が楽しみですね。

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